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Q|古希とは何だろう?何故お祝いするの?
A. 古希祝いとは、70歳を迎えた長寿のお祝い事を指します。
古希の由来は、中国の唐の詩人であった、杜甫(とほ)の「曲江」(きょっこう)から由来します。
曲江(きょっこう)の詩に、「酒債は尋常行く処に有り、人生七十古来稀なり」とあります。これの訳は「酒代のつけは私が行く至る所にどこにでもある。しかし、70年生きる人は古くから稀である」となります。この詩句から、70歳を迎える人を「古希」(を迎えた)と呼ばれるようになりました。
唐の時代は今から1000年以上前でありますので、その時代で70歳まで生きるのは非常に希であったため、現代よりもっと燦たる長寿祝いであったでしょう。
古希にまつわる逸話として、大相撲の世界にて1939年に双葉山が安藝ノ海に負けて連勝が69で止まると、当時のラジオ中継の和田信賢アナウンサーがこれを引用し「やはり七十古来稀なり」との名言が全国に放送されたとあります。
さて、古希祝いを含め、これ以降の長寿のお祝いは全て数え年で祝うとされています。(還暦祝いは61歳(現代は満60歳の方がほとんど))しかしながら、その風習も時代とともに変わり、現代では満年齢(古希なら70歳を迎える誕生日)の年にお祝いをされる方がほとんどです。
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ちなみに還暦の発祥も古代中国で、日本においては奈良時代に「長寿を祝う」習慣として取り入れ、貴族たちの間で広く行われるようになったのがはじまりと言われています。
この長寿の祝いは「年祝」とも呼ばれ、長寿を迎えたことを喜び、それを記念する儀礼で、当初は40歳を「四十の賀」、50歳を「五十の賀」と祝っていました。室町時代の頃より、「還暦」や「古希」などと呼び祝うようになり、その後、江戸時代に広く一般的に行われるようになったようです。
Q|古希と古稀、正しい表記はどっち?
A. 古希と古稀の表記については、どちらも正しく好みの問題となります。
古希の由来は中国の詩人、杜甫の「人生七十古来稀なり」が由来です。原文の表記は古稀ですが、「稀」の文字は常用漢字にはないので現在では「希」と書くことが多いです。
本来、古希は中国の故事「人生七十古来稀也」からきているため、「稀」の字が正しかったのですが、「稀」が常用漢字ではなかったため、1946年の当用漢字制定の際に「稀」の代用として同じような意味を持つ「希」の字が使われるようになりました。
なお余談ですが、この2つの漢字は形がよく似ているため、「稀」が「希」の旧字だと勘違いされることもありますが、それは間違い。「稀」の方は「のぎへん」が表す通り穀物の状態を指す言葉で、「希」は反物の状態を差す言葉。つまりその関係は新旧ではなく兄弟か親戚関係といったところです。
「稀」は「まれ」と読めます。意味としてめったにない・めずらしい・少ない、という意味から、昔は70歳まで生きることが非常に「まれ」であったため、とも読めます。現在、お祝いをされる方の多くは、「長生きしてほしい」という希望をこめて、「古希」の文字に「希」を用いる方が多くなってきております。
Q|古希祝いはいつするの?
A. 満年齢でお祝いされる方がほとんどです。
昭和30年過ぎまでは数え年の69歳でお祝いを行うことが一般的でしたが、現在では満年齢で70歳を迎える誕生日にお祝いをされる方がほとんどです。
そういった意味ではお祝いのパーティーやプレゼントは誕生日当日に取り仕切ることが良いかと思いますが、現代は核家族化も進み、おじいちゃんおばあちゃんと同居されていなかったり、ご兄弟も離れて暮らす家族も多いかと思います。
一生に一度の古希祝いですから、家族全員が揃う日を段取り、お誕生日の前後一週間の週末などに行ってもよろしいかと思います。
また、70歳ともなると健康面にも多少なりとも気を使う年齢です。無理に誕生日を合わせずとも、お正月やお盆の時期にお祝いされる方も多くいらっしゃいますので、時期はご家族と相談してタイミングをみてサプライズにしてあげてください。
会社関係や法人関係などでお祝いをされている企業様はご祝儀、あるいは記念品のみを渡すことがほとんどですが、70歳ともなると一般的には定年を迎えており、上司の方のお立場もケースバイケースでお祝いのタイミングは異なると思います。お祝いをされる方々で相談の上で企画しましょう。
Q|今年古希の人の干支は?
A. 2024年(令和6年)、70歳を迎える方の干支は十二支の7番目である午(うま)となります。
本来の“十二支”と“十干”との組み合わせとなる「十干十二支(じっかんじゅうにし)」ですと、「甲午(きのえうま)」となります。
ちなみに来年の2025年に古希を迎える方は、1955年(昭和30年)生まれ「乙未(きのとひつじ)」となります。
Q|なぜ古希は「紫」色なの?
A. 紫は気品や風格を備えた色、貴族の冠位は紫色が最上位。
還暦のお祝いでは「赤色」がキーワードですが、古希では、「紫色」がキーワードとなります。では、なぜ「紫色」なのでしょう。
実は紫色は、古くから特別な意味を持つ色と考えられてきました。たとえば、聖徳太子の時代。貴族の冠位は紫色が最上位の地位を表す色でした。僧侶でも紫の衣を身につけることができるのは最高位の僧侶に限られていたほど。その後、こうした考え方は一般にも広がり、紫は気品や風格を備えた色として尊ばれるようになっていきました。
また紫色は、心と体のいやし効果がある色。先人達はそれを経験から知っていて、不安な気持ちの時には身近に紫色のものを置いていたといいます。
だから、古希のお祝いには長寿への敬意といたわりの心が込められた紫色をキーワードにお祝いを。もちろん紫色にこだわらなくても、その心を大切にしてお祝いをしましょう。
Q|どんなものが喜ばれるの?&プレゼント選びの注意点
A. 健康と長寿の願いが込められた贈り物なら◎
古希のプレゼントを選ぶ注意点として気をつけたいところは、プレゼントの背景にお年寄り扱いをしないというところです。70歳と言えども、現役で働いていらっしゃる方もいらっしゃったり、お孫さんに囲まれながらもエネルギッシュに趣味などで活動されている方が多いのが現状です。
心ではわかっていたとしても、あまり露骨に年寄り扱いされることは嫌いますので、「長生きしてほしい」「これからも健康長寿」の願いをこめたプレゼントを渡しましょう。感謝の言葉、労いやお祝いの言葉を添えてプレゼントするとぐっと喜ばれると思います。
また、70歳ともなるとも欲しいものという概念が薄れてきて精神的にも満たされている方が多いはずです。日頃の疲れを取ることで健康になったりすることが喜ばれますから、家族みんなで温泉旅行という贈り物が人気なのはうなずけますね。
旅行先のホテルでプレゼントしたり、レストランでお祝いの会を準備される方は、あまり大きい物だと持ち帰るときにも不便を掛けてしまいます。持ち帰りの段取りや渡す際にはお店の人と相談、帰りの宅配便や紙袋など細かな気配りも抑えておくと更にポイントが高いです。覚えておきましょう。
Q|どれくらいの予算?
A. 20,000円~70,000円と幅があり、平均額は約35,000円です。
70歳の古希の贈り物となると本格的な長寿のお祝いごとです。還暦ですと、人生の折り返し地点、まだまだ現役と言われる年代ですが、70歳となるとお祝いをされる子供たちも30代前後、お孫さんもだんだんと大きくなる世代ですので、ご予算も還暦祝いの平均予算(31,000円)より高くなっています。
個別に見てみると、子どもから贈るプレゼントの予算相場は1万円~5万円ほどとなっています。幅があるのは、プレゼント単体の金額、もしくは家族で旅行に行った際の合計金額など、お祝いの規模によって様々だからと推測できます。
平均金額は35,000円ですので、一生に一度のお祝いだから奮発する、という方もいれば、兄弟姉妹でお金を出し合ってプレゼントを贈る、というケースもあるのです。
個室を予約できるレストランのコース料理の場合、予算は4,000円から10,000円ほどが相場のようですので、プロに料理をお任せし、家族で催し物を考える方に集中する方も多いです。
お孫さんがいらっしゃるご家族は、お孫さんからの手紙などはおじいちゃんもおばあちゃんもひとしお嬉しいようですね。
レストランやホテルを予約する際は、古希のお祝いであることと主役の好みをお店に伝えれば、ふさわしい祝い膳を用意してくれます。自宅でお祝いする場合は、尾頭付きの鯛・赤飯・お寿司・ケーキなどが定番のようです。古希を迎える主役からのリクエストがあれば、好物をたくさん作ってお祝いしてあげましょう。